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ゼウスはマスターに赤ワインを頼むと記録書の未記入の白紙ページを破った。
ゼウスは表紙の板を赤ワインで濡らすと羊皮紙を張りつけた。
紋様が紙に写され、次にゼウスは裏表紙を赤ワインで浸した。
そして羊皮紙の二重の円と紋様の二重の円を重ねた。
ゆっくりと紙をはがして見る。
「考えたものだな。文字が完成するとは。“汝がメビュースを所望するならばこの書を燃やすが良い”……か。なるほど」
これだけの記録書を燃やすのは内容を知っていない者でもためらわれる。
その盲点を的確についていた。
ゼウスは表紙の板だけ外すと暖炉の中に放り投げた。
多少、ワインの香りをさせながら板は勢いよく燃え、灰になった時には銀のねじれた指輪を残した。
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