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アース大陸のマース国は大陸の北西に位置し、大陸内で唯一、北のリステア大陸と公益がある国だ。
そのマース国マロニエの町が首都であるローズよりも活気があるのは、港に近いからかもしれない。
マロニエの町にある酒場『歌姫の魔力』亭は町で一番の人気がある酒場だった。
看板が表す通り、歌姫シールズの歌声が魔法のように人々を魅了し、安らぎを与えるのだ。
シールズは物心ついた頃にはこの酒場で生活をしていた。
酒場の前に捨てられていた赤ん坊だったシールズを、マスターが男手一つで酒場を経営しながら育てたからである。
水変わりに酒を飲んで育ち、客に愛敬で歌を歌ったのがうけてからは自分の役割を理解し始めた。
その外見の美しさから、ガラの悪い一見の客に絡まれることもあったが、かつて屈強の戦士として馴らしたマスターに体術を仕込まれていたシールズにとって、酔っ払った男たちを捌くのはわけのないことだった。
柔軟な身体能力と、酒樽を運ぶことにより身につけた無駄のない筋肉が、体術をより確かなものにしていた。
そんなシールズだったが15になった頃、冒険者で戦士であるアレグレータと出会い恋に落ちた。
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