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後頭部の感覚が鈍り、激しい心音が体中を巡る。
もう限界は越えていた。
フレイムはこれほどの息苦しさを体験したのは初めてだった。
初めてどころか最初で最後になるかもしれない。
脳裏によぎったがそれどころではなかった。
最後は水をかく力が尽き、あがきながら浮力に頼った。
「ぷはぁっ!」
水面から体が大きく飛び出し、愛おしく、早く空気を吸い込む。
何度も。
しばらくは呼吸以外の事ができず、浮いているだけだった。
(何だよ。意地張らずに正面突破した方が安全だったかもな)
呼吸を整え終わると、フレイムは少しだけ反省しながら石壁でできた井戸を登り始めた。
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