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「待ってくれ。逃げ帰ったわけじゃない。女王蟻を仕留めたし火を放ってある。後は準備を整えて後片付けに行くだけだ」
ハリソンは意外なバドの発言に対して答えた。
準備を整えるのに数日かかる事を伏せた以外は真実である。
「鉱脈での作業は明日にでも始めないとおれの立場がなくなる。おれは昨日の夕方までの期限を切っていたはずだ」
バドは腹をたてていたわけではなかった。
むしろ、昨日報告がなかった事で心配すらしていたハリソンが姿を見せたので、暖かく迎えたつもりだった。
しかし仕事と個人的感情は別である。
何か言おうとしたハリソンにバドは続けて話す。
「いいか? お前さんの言う事に恐らく嘘はないんだろう。しかしな、約束は約束だ。期限の延期はできん。そして成功報酬は渡せん。お前さんの言う後片付けには他のパーティをすでに行かせたよ。ゆっくり休んで万全になってからまた来てくれ」
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