プロローグ

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アレグレータはマロニエを拠点とする冒険者の一人で、本人を含んで六人でパーティを組んでいた。 中肉中背のバランスのとれた戦士で、長剣(バスタードソード)と中型の盾(ミディアムシールド)を使いこなし、鉄鎧(プレートメイル)を装備していた。 今晩も婚約者であるシールズの歌を聞きに『歌姫の魔力』亭に訪れており、歌い終えたシールズと短く軽いキスをする。 「明日早くに出発するんだろ? こんな遅くまでいいのかい?」 その見た目の美しさには似付かわしくない荒々しい言葉使いで、シールズはアレグレータの身を心配する。 「それはそうなんだが、お前にこの剣を預かってもらいたいと思ってな」 アレグレータは愛用のバスタードソードを鞘ごとシールズに押しつけるようにして渡した。 左腰には別のバスタードソードが吊されている。 「この間の古代宮殿で得た魔法の剣使うんだね」 シールズはアレグレータの腰に吊された魔法の長剣を見ながら、先日アレグレータから聞いた冒険談を思い出していた。 「ああ。独身最後の旅だ。もうひと稼ぎしてくるよ。帰ってきたらお前は花嫁だ」
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