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ローレライはフレイムの技量を知っていた。
そして素早さに関して言えば、敏捷性の高いエルフ族である自分と匹敵するほどだと認識していた。
この二年間でシールズの戦士としての成長は著しいものがあったが、反応速度は自分ほど早くないはずだった。
それはシールズが、フレイムの突きをかわしたり防いだりする事ができない事を示している。
「うおっ!?」
フレイムの大刀の切っ先が、シールズの顔に触れる寸前でピタリと止まった。
ローレライの叫びで、フレイム自身が反応して勢いをようやく止めたのだろう。
「驚かさないでよ」
ローレライがほっと胸を撫で下ろしてフレイムに呟く。
シールズとフレイムの姿勢は完全に止まっており、その視線は互いに激しくぶつかり合ったままだった。
「驚いたのはおれ達でお前じゃないだろうが」
答えるフレイムの腹には、シールズの鞘から抜かれた剣がしっかりと突きつけられていた。
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