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シールズは幼少の頃の記憶を思い出していた。
「お前の声は人を魅了する魔力があるのかもな」
父親代わりのマスターに優しくそう言われて、シールズはさらに歌うのが好きになった。
一度だけ自分の限界を知りたくて高い声を出した事があった。
ふりしぼって出した声は高すぎて、発しているのに耳からは聞こえず自分の骨を通してしか聞けなかった。
しかし店中の陶器はひびが入るか割れていた。
その時以来、マスターにその高さでの声は出さないように言われていた。
ためらいなどなかった。その時の声をシールズは体の奥底から発した。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ!」
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