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偶然の再会は、花火みたいに思えた。
卒業したら会えなくなる、そう思っていたのに。突然背後から掛けられた声。振り向けばそこには、懐かしい姿。思い出よりずっと美しい君に目を奪われた。長い黒髪を一つに束ね、浴衣を着た君。あの頃と変わらない、口角を少し上げた君の笑いかた。
「久しぶりやん!元気やった?」
「あっ…ああ。そっちは?」
「まぁまぁ、かな。」
カランコロン、下駄の音が規則正しく響く。元々長身の君がより一層、大きく見えた。
「大学はどんな感じ?」
君がいなくてつまらない、何て口に出来なくて躊躇う。同性ばかりの学科に楽しみなど見い出せない。
「それなりに。…そっちは?」
「つまんない!アハハッ、言っちゃった。」
確か推薦で入ったはずなのに、君はつまらないと口にした。
「推薦で入ったくせに。」
「だって……。」
一歩先に出て、くるりと振り返る君。月を背にして、より一層肌が白く見える。
「何だよ?」
「……アンタが理工に行くなんて、予想外だったもん。」
「は………?」
意味がわからず聞き返すと、君は怒ったように頬をふくらませ言った。
「アンタのことが好きだったんだからっ!同じ大学受けるって思ってたのにっ!」
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