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指と指を絡めた手の繋ぎ方―ラブ繋ぎをしてみたい。
そんな事を考えているんだけど、到底口には出せない。今言おう、いや、やっぱ止めよ。そんな感じで気付けばもう、二年。付き合ってるのに、二年間、手を繋いだ事すらない。異常なまでの恋に動揺する。
別に嫌いな訳じゃないし、寧ろ自分の中では、アイツ以上の奴なんていないと思う程。だけど、顔を合わせると素直になれない。また今日も、同じ事を繰り返す。
「帰ろーぜ!」
「何でアンタと帰らなきゃならないのさ?」
二年間、毎日と言っていい程繰り返される言葉。素直に返事ができなくて。とはいえ、帰るときはいつも一緒なんだけど。言わば、二人の中ではこれが普通の会話として成り立っているのだ。
「ねぇ、素直な子、どう思う?」
帰り道でそう尋ねた。どうせそういうタイプが好みなのだろう。そう思ってたのに。
「別に?だって素直じゃなくても十分可愛い子、知ってるしね。」
勝ち誇ったような顔で言われれば何だか腹が立って。
「死ねっ!単細胞!!」
鞄で思いっきり叩いて走り去る。
勘違いしないで。顔が赤いのも、心臓が壊れるくらい高鳴ってるのも全部、走ったせいなんだからっ!
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