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「一体何だよ、あの気持ち悪いのは…!」
ひとりごちると、エルヴンは非常用に置いていた弓矢を木の股から外し、敵に狙いを定めて弓に矢をつがえる。
「当たってくれ……」
瞬間、矢が風を切って敵の足に射られた。
エルヴンは間髪入れずに次の矢を射る。
それは太股を貫き、敵は奇声とも悲鳴とも分からない叫びを発した。
(あの変人たちの狙いは、多分俺じゃない……恐らく、あの人だろうな)
矢を用意しながら、エルヴンは倒れている人間を横目で見た。
女だった。
「エスコートかよ、俺の役目ってのは」
片目を瞑り、また矢を発射。
弓の弦が震えをきたし、エルヴンは今頃、最近自分はこれに触れていなかったということを思い出した。
同時に、気の緩みからエルヴンは弓を地面に落としてしまった。
しまったと思い敵の数を確認すると、
「? …………いない?」
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