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誰もいなかった。
不思議な感覚がエルヴンの胸をしめつける。
エルヴンは不快な軋みに耐え、音もなく地面に着地した。
それから倒れている人に走り寄り、半身を起こしてやる。
「おい、君! 大丈夫か?」
返事はないが、呼吸はしている。
自分と同じくらいの年齢の少女だった。
茶色の短い髪を持ち、どこかルーラに似た顔立ちをしているように見える。
(仕方ないな。ここに置いておくわけにはいかないし、だいぶ衰弱してるし……)
エルヴンは少女の頭を自分の首にもたれかけさせ、抱きかかえる。
そして、平屋のぼろい家に帰っていった。
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