第1部 エルヴン

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誰もいなかった。 不思議な感覚がエルヴンの胸をしめつける。 エルヴンは不快な軋みに耐え、音もなく地面に着地した。 それから倒れている人に走り寄り、半身を起こしてやる。 「おい、君! 大丈夫か?」 返事はないが、呼吸はしている。 自分と同じくらいの年齢の少女だった。 茶色の短い髪を持ち、どこかルーラに似た顔立ちをしているように見える。 (仕方ないな。ここに置いておくわけにはいかないし、だいぶ衰弱してるし……) エルヴンは少女の頭を自分の首にもたれかけさせ、抱きかかえる。 そして、平屋のぼろい家に帰っていった。
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