序章

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「起きて。起きてください」 「お願いだから…ほっといてよ……」 布団を取られた彼は、身体を小さく丸めて枕に顔を埋めた。 「もう、いつまでも子供じゃないんだから起きてちょうだい」 声の主は溜め息混じりに言う。 彼は半眼になり声の主の方を見上げると、まず大きなお腹が彼の視界を一杯にした。 もう少し顔を上に向けると、茶色の長い髪の美人が困った表情で下を見つめている。 羽のように白いマタニティドレスがよく似合っていた。 「まだ子供だよ、僕は…」 「嘘おっしゃい! 寝ぼすけさんなんだから…。もう、あなたったら」 彼女の大きなお腹の原因は、この2日酔いの少年にあった。
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