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「わ、もう腹がこんなに大きいじゃん!」
彼は両眼を皿のようにして彼女のお腹をさすった。
まだ頭はずきずきするが、彼女に起こられては眠ることは許されないから我慢している。
「もしかしたら、こりゃ双子かなあ」
それを聞いた彼女は、彼の黒髪を優しく撫でながらも口を尖らせる。
「もう…お腹の赤ちゃんには私たちの声が届いているのよ。腹だなんて品のない言葉は使わないで」
「ははは、すっかり母親気分だなルーラは」
悪戯な笑みを浮かべる彼は、ルーラの頬に手をやって口づけた。
ルーラは少女のように頬を赤く染め、頭を垂れる。
「私が母親になれば、あなたは父親よ? ……私たちの天使に何か話しかけてあげて」
「おーい親父だぞー。お前たち、健やかに育ってるか?」
「またそんな! それにまだ双子と決まってないのよ」
ルーラが呆れたように言うと、急に彼は両腕を組んで唸った。そして、
「名前、何がいいかな。ルーラは何がいいと思う?」
「何がいいかしら……」
「じゃあさ、こうしようぜ。男だったら僕が、レディなら君がつけるんだ」
彼がルーラの肩に手を置いて真剣に言うと、その手に自分の手を重ねてルーラは嬉しそうに微笑む。
「私はあなた似の男の子が欲しいわ」
「僕はルーラそっくりの美人な女の子を希望だね」
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