3.二人だけの世界

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いつもギリギリまで寝ている龍之介だが、今日は違った。 6時ちょうどにパチリと目が覚め、導かれるように1階に降り、朝食を作っている母に、 「今日何曜日?」 と荒げな声で聞いた。 「何言ってるの~水曜日じゃない。」 フフフと可笑しげに笑う母とは対照に、龍之介は落胆した。 気づけば、携帯もテレビも時計も全て、7月8日水曜日を示している。 朝ご飯も食べずに、制服に着替え、玄関を飛び出した龍之介は、学校に突っ走った。 いつもより1時間早く教室に着いたのだが、自分の隣の席にはすでに、大地が座っていた。 「…龍之介。」 「考えてることは一緒みたいだな…。」 「もうこの世界には、俺たち二人しかいね~よ…。」 「……。」 しばらくし、チャイムが鳴り、朝のSTが始まる。 昨日と一緒の事を言っている。 1限目、世界史の伊庭が入ってきた。 龍之介も大地も、もう驚いたりはしなかった。
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