1.始まりの日

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キーン、コーン、カーン、コーン。 「やっと終わったぜ。」 緑山高校3年1組の授業は終わり、そそくさとバッグを持ち出し、教室を出ていく。 別に家に帰ったってやることはないが、このくそつまらん高校の授業を早く抜け出したかった。 駐輪場に行き、3年間愛用した青のママチャリに股がり、校門を出た。 学校から家まで30分、まだ夏の5時だけあってまるで昼間みたいだ。 まだ高い位置にある太陽が、青いママチャリに反射してきらびやかに光る。 「暑っ!!」 姫路龍之介は手で仰ぎながら風を作った。 7月。初夏。湿気だらけの梅雨を抜けたと思ったらこれだ。 ニュースによると、今年の夏は特に暑いらしい。 汗が身体中に流れ出る。そうこう考えているうちに龍之介は家路に着いた。
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