なつ と みつき

2001年 春

穏やかな空気の中、桜の花びらが舞い散る季節。

｢♪～♪♪～♪｣

テーブルに置いた携帯が、聞き慣れた音楽を奏でた。

おもむろに携帯を手に取ると、ディスプレイには親戚の叔父さんの名前が表示されている。

僕は電話が鳴ると緊張してしまう性格で、通話ボタンを押すのに数秒かかった。

電話の相手が誰であろうと、僕は強張ってしまう。
そう…、僕は偏屈な男なのだ。

｢は、はい。｣

｢もしもし、みつきくん？｣

｢叔父さん！お久し振りです。｣

そこでようやく僕はホッとする事ができた。

｢いやぁ～、元気だったかね？｣