逢風-リウ Ⅹ スエ-

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師走の月。 寒さ厳しいこの季節。 戸の外は、すべて白の海。すれ違う人たちは、皆薄着で、かじかんだ手に白い息をかけて擦り歩く。 貧富の差は広がり、食料飢饉も日常茶飯事であった。 家々の片隅で、一人蹲(ウズクマ)る少年。 彼の名は 璃兎(リウ)。 歳は16。短く白い髪をしていて、生まれつき青緑色をした右目を持っていた。 両親を幼くしてなくし、身寄りもなく、ただ独りで生きていた。 食料を口にせず、3日が過ぎていた。 「おい、異人がこんな所で寝ているぞっ。」 町の小僧たちが璃兎のまわりに群がる。 「へんな頭と眼をしやがって、おかしい奴だ。」 集団で璃兎を攻撃してくる。 「お前なんかいなくなっちまえっ。」 そう言い残して小僧たちは走っていく。 極限まできている空腹と、小僧たちに攻撃された痛みが、璃兎に一つの思いを示した。 「・・・・・・。俺は、死ぬのか?」 そんな考えばかりが頭を回っていた。次第に目が回り、眠りに着いてしまった。
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