墓地…髑髏(ドクロ)

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…何故思い出せないんだろう。 僕は必死に記憶を探っていた。 頭の何処かにしまってあるはずなのに。乱雑に整理された記憶を掻き分け、一つ一つを確かめながら選別する作業を続ける。 これじゃなぃ…… これじゃなぃ…… これじゃなぃ…… …………………ただ虚しく時だけが過ぎていく。もうだめだ。 また明日にしよう。僕は作業をやめ、ゆっくりと目を閉じた。 祖父の家は旧華族の血筋であり、大きな家に住んでいた。 歴史のある古い屋敷なだけあって、外壁一面に植物の蔦が這い、不思議な静寂に包まれた不気味な洋館であった。だがガレージには高級車が並び、豪華な家具、大きな庭、その庭には番犬としてだろうか…二匹の犬が放し飼いにされていた。 小さめな柴犬とかなり大きいラブラドールだった。 柴犬のほうはとても人懐っこい性格で、人影を見ると尻尾を振ってかけ寄ってくる。とても番犬とは思えない。名前もこれまた番犬らしくない「ポチ」。 …ラブラドールのほうは温和で賢い性格の犬だけあって、じっと祖父の足元に座っていた。まるで漆黒の闇を思わせるような光沢のある毛並み…そこには触れられない何かがあった。ただ見入る事しかできなかった記憶がある。 ふと目が覚めた。 やっと思い出した……そうだ……その見事な毛並みから付けた名前は……クロ。 ポチ…とクロ。          fin m(_ _)m
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