第二章 第一部

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オレの頭の中にあのときの記憶がよみがえった。 そして無意識に一つの言葉が口から出ていた。   「事故・・・」   オレがそうつぶやくとオヤジはオレの目を見ながら口を開いた。   「そうだ、空ちゃんはあのとき事故にあって、お前は空ちゃんを抱いたままショックで気を失った。 そして二人ともこの病院に運ばれてきたんだ」   オヤジの言葉を聞いてオレの頭の中は真っ白になった。 そして真っ白な頭の中に一つの言葉が浮かんだ。   「・・・空」   オレがそう口にしたとたん二人の顔が青くなった。   「なぁ、空は何処なんだ?違う病室で寝てるのか?」  「・・・」 「・・・」   二人は、黙って答えない。  「どおして二人とも黙るんだ空は無事だったんだろ!!」   オレはその沈黙に嫌なものを感じて、オレはそれを振り払うように叫んだ。   「なんとか言えよ!!」   「死んだよ・・・」   オヤジは、そう一言だけ言った。 「オヤジ、今何て言った?」   「和真、落ち着いて聞いてくれ・・・」   オヤジは一息おいて話し始めた。   「空ちゃんは今から2ヶ月前にこの病院で、死んだんだよ・・・」
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