第二章 第一部

6/6
前へ
/75ページ
次へ
  「ハッハハハハハ」   オレの口からは、渇いた笑いが漏れていた。   「つまり、オレは事故の時も、空が死んだ時さえも一人ここで寝てたってことか?」   「・・・」 「・・・」 オレの言葉にオヤジと春香は、押し黙ってしまった。   『バンッ』   そしてオレは怒りにまかせて壁を叩き叫んだ。   「ふざけんなー!!」   オレは自分が許せなかった。 空を助けてあげられなかった自分が、空を抱いてやることしか出来なかった自分が、そして空が死んでしまった時、のうのうと寝むっていた自分が!! 自分の全てが許せなかった。   「すべて、すべて壊れてしまえー!!」   叫びながらオレは暴れだした。   「春香ナースコール!!」  オヤジはオレを押さえながら叫んだ。   春香は、頷くと隣にあったナースコールボタンを押した。 『ビーーーー』   その音と共に数人の男が入ってきて、オレの腕を押さえ、針をさした。 そしてオレは眠りの中へと落ちていった。 まどろみの中で頭に浮かんだのは、自分への殺意と、「約束の、場所。」っと呟いている空の声だった・・・
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加