汽笛のかぜ

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マヤがすっかり寝てしまったのを確認して、お母さんは出かける準備をしました。今日はイヴです。レストランでは、たくさんの人がディナーを食べに来ています。皿洗いの仕事はたくさんです。   少しでもマヤの治療費を稼がなくちゃ   お母さんは必死でした。   外は雪が降っています。お母さんは薄いコートをはおり、レストランに向かいました。     それから何時間経った事でしょう。 マヤはふと、目覚めました。 枕元にプレゼントがない事を確認すると、寝返りをうち、少しだけ泣きました。 マヤだって本当は、クリスマスのプレゼントが欲しいのです。 おっきな箱に、綺麗なリボン。その包装をばりばりと破いて、クマのぬいぐるみを抱っこしたい、ハグしてキスして、お母さんにグラッツェとキスをしてそれから…マヤはたくさん想像しました。想像して、たくさん泣きました。   神様はどうして、私とお母さんにばかりこんな辛いことばかり与えるのかしら。 それとも、普段みんながお祈りしている神様なんて本当は嘘で、神様なんて居ないんじゃないかしら。 じゃあきっと、サンタさんだっていないわ。 だっていくらいい子にしてても、サンタさんは私のところにもお母さんのところにも来てくれないもの!   その時です、窓ががしゃんと割れると真っ赤な服を来たおじさんがおうちに入ってきました。
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