33人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
おじさんはハァハァと息を切らしています。
マヤはびっくりして「貴方は誰!」と叫んでしまいました。
赤い服のおじさんは、息を整えるとマヤにこう言いました。
「こんばんは、お嬢さん。」
「私は、サンタクロースだよ。」
マヤは驚きました。
月灯りの逆光で顔はよく見えませんが、今目の前にいる人がサンタクロースなのだと。今までずっとずっと待っていたサンタクロースが今目の前にいるのだと。
「お嬢さんはお一人かい?お母さんかお父さんは?」
「お父さんはいないわ。お母さんは多分、朝まで帰ってこないと思う。」
「それまたどうして?」
「お仕事なの。」
でもマヤはちっとも寂しくありませんでした、だって今目の前にはあのサンタさんがいるんですもの。
マヤは、サンタさんにすぐにでもプレゼントの話をしたくて堪りませんでした。でも、なかなか言い出せません。
がめつい子だと思われるんじゃないかと、思ったからです。
マヤがもじもじしているとサンタさんはハッと気づき
「ああ、プレゼントだね!悪いんだけどちょっと今プレゼントはあげられないんだ。と言うのもここに来る途中荷物を無くしてしまってね。後でちゃんとあげるからいい子で待っているんだよ。」
サンタさんが少し早口にそう言うと、マヤはニコニコになりました。よかった!今年はプレゼントが貰えるんだ!マヤは嬉しくて溜りません。でも喜んだのもつかの間、マヤは咳込みはじめました。
はじめはコホコホと小さな咳でしたが、次第にたんの絡んだねっとりとした咳になりそれを超えると切れるようなケンケンとした咳になりました。
最初のコメントを投稿しよう!