もやし

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マサトの手は傷だからけで、血が滲んでいました。 痛々しい手は触れると温かく、男らしく骨っぽくなっていました。 丁寧に丁寧に巻いている間、あたしとマサトは一言も会話をかわしませんでした。 時間が止まっているような、ゆっくり流れているような。 でも、激しく脈打つ心臓だけが現実の時間を表していました。
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