プロローグ

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街灯が照らす暗闇の中を、彼女はやや急ぎ足で歩く。 彼女の他にこの道を歩く者は、午後9時という時間にも関わらず、誰もいない。 おそらくは、最近街で囁かれている噂のせいであろう。 『最近、深夜に原因不明の死亡者が増えている』と。 真偽がどうあれ、気味が悪いことには変わりがない。 だからこそ、さっさと家に帰りついてしまいたかった。 (それなのに、残業だなんて最悪) 内心でグチをこぼしながらも、彼女はその裏に秘めた恐怖に追われるかのように、さっさと家にむかうべく早足で歩く。
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