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と。
「……?」
ふと彼女は、前方から人影がやってくるのに気がついた。
街灯の影で顔こそ見えないが、シルエットから予想するに、女性であろう。
(よかった。誰かくる)
安堵の息をはき、彼女は早足だった歩みを少しだけ遅くした。
一歩二歩、少しずつその人影へと近づく。
彼女の姿を向こうも視認したのか、ふと人影の足が止まる。
人影は少しだけ首を上へ持ち上げた。
──まるで、彼女の顔をはっきりと確認するかのように。
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