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「なにすんだよ…!?」
クッションを投げられ、反射的に背けていた顔を正面に向けた。
すると彼女はこちらに向き直り、じっとオレを見据えている。
無言の彼女に、なんというか…ある種の威厳というか、威圧感のようなものを感じた。
「今度は、あたしが言わせてもらうから。」
さっきまで聞く耳を持たず、まるで話し合いに応じようとしなかった彼女が口を開く。
「疲れてるんだよね?忙しいんだよね?そんなの解ってるよ。でもさ、あたしだって…働いてるじゃない。そりゃ比べられたら全然及ばないかもしれないけど…」
そこで一呼吸置いて、彼女は続けた。
「疲れてるのなんて、あたしも一緒だよ。でもさ、帰って来て晩ご飯がない日ってあった?朝、あたしが起こせなかったことってあった?どんなに疲れてても、あたしは手ぇ抜かなかったよ。」
彼女は冷静だった。さっきまでの取り乱し方からは想像もつかないくらい。
そして、その目は決して逸らされることはなく、ただオレだけを見据えていた。
「ねぇ、ここ何ヶ月か自分がどんな話してたか覚えてる?」
「え…?」
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