Chap1.ホットケーキ

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「ねぇ、明日って休みだよね?」   椅子に座るなり彼女が言った。 …やっぱり、なんか違う。   「あぁ、明日は休みだよ。こんだけ忙しいのに日曜日までなくなったらシャレになんないよ…。」   「うんうん!だよねー!」   …確信した。今日の彼女はやっぱり変だ。何が、って言われても上手く説明できないが…。 あえて挙げるなら『顔』。もともと険しい顔は滅多にしない、と言うよりは…いつも笑っている印象が強い。それが今日は『ニコニコ』ではなくて…『緩んでいる』。   「あのさぁ…」   「ん?なぁに?」   妙を感じずにはいられなくなったオレは、あくまで自然を装いつつ、その『緩み』の原因をうかがうことにした。   「なんか良いことでもあったん?」   この問いに、彼女は一瞬ピクリとし、緩んでいた顔もなんとなく緊張を取り戻したのだが、すぐに『妙な彼女』へと戻ってしまった。別段気にかけていないような素振りを心掛けながら注意深く観察していたオレは、その様子を見逃さなかった。   「えへへ~、べっつにぃ~」   「そっか、ならいーんだけど…」   (…どこまでわかりやすいんだか。)   心の中でそう呟きながらも、彼女がこう嬉々としているのはオレにとってもなんとなく嬉しかった。   「あ!」   ふと、彼女がわざとらしい声を出した。   「なに?どーしたのさ?」   「えっとねぇ…ん~、なんでもない!」   「なんだよ、気になるじゃん。」   「なんでもないの!気にしない気にしな~い」   嬉しくはあるけど、なんとなく…気持ち悪いかも…。
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