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「えっ…」
空気をまるで無視したオレの発言は彼女の期待していたそれとは掛け離れたものだった。
言葉を失くしかけたものの、それでもなんとか持ち直したらしく、次の一言を選んでいる様子。
そして彼女は、言った。
「明日ってさ、何の日?」
間を置いて、少しだけ控え目に尋ねる彼女。
まじまじと覗き込むようにオレの顔色をうかがうその目には、さっきとは違う不安の色を宿している。
さすがに何かあるんだろうと思案を巡らせるが、所詮は疲れ切った頭だ。考えてはみるが、一向に思い出せない。
目の前には相変わらず無言のプレッシャーを送り続ける瞳。
いやな緊張にとうとう耐え切れなくなったオレは、止せばいいのに軽い冗談で場の空気を解きほぐそうと考えた。
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