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ハッとした。
抱えていた倦怠感さえも感じる余裕をなくした。
ポロポロと涙をこぼす彼女。小刻みだった華奢な肩の震えは、徐々に大きくなり、遂には震えているというよりもしゃくり上げる形になった。
「…あの、さぁ…ごめ」
「もういい!」
謝罪の言葉はあえなく遮られた。
悪かった。悪いのはオレだった。だからこそすぐに謝ろうとした。
しかし、言葉は遮られて、声を押し殺した微かな泣き声が響くだけ。
それでも、謝らなきゃならないのはオレの方だ。だから…
「ホントにゴメ…」
「知らないっ!」
「オレが悪…」
「もういいってば!」
「なぁ、聞いてく…」
「聞くことなんかない!」
「オレは聞いてほし…」
「聞きたくない!」
「なぁ、頼むから…」
そう言いかけた瞬間、彼女は溢れんばかりの涙目でオレを睨みつけて、プイッとそっぽを向いた。
そして、オレのすぐ傍らにあったクッションを乱暴にひったくると、それをギュッと抱え、オレに背を向けて小さく丸まってしまった。
「ホントに悪かったよ、ゴメン。」
「…。」
「すごく大切な日なのに…忘れてたなんて有り得ないよな?」
「…。」
「ちゃんと話がしたいんだ。こっち、向いてくれよ…。」
「・・・。」
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