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「…早く寝ればいいじゃん。明日もゆーっくり休んでくださいっ。」
ぶっきらぼうな口調の彼女は背中を向けたまま、オレを追い払いたいかのように手を二、三度ヒラヒラさせた。
自分の存在を拒絶されてるような、そんな感覚がした。
それと同時に、内側に積もり積もっていた何かが理性を決壊させ、途端に頭がカッとなるのを感じた。
「なんなんだよ!オレの仕事が忙しいのなんて解ってんだろ!?毎日毎日朝の八時から働いてさ、残業で夜も遅いって毎日見てりゃわかんだろ!疲れてんだよ!休みたいって思っちゃ悪いかよ!?」
気付いたら有りったけの声で彼女の小さい背中に怒鳴り散らしていた。
「言いたいことってそれだけ?」
あれだけの怒声を浴びせたにも関わらず、その声は怖じけづくどころか、逆に冷静さを漂わせていた。
「…なんだよ?」
オレは彼女の冷静さに気圧されていた。
しかし、それを悟られまいとして、少し乱れた呼吸を静かに整えていた…その時だった。
「自分のことばっかりじゃない!」
その言葉と同時に、彼女が抱えていたクッションがオレの顔面目掛けて飛んできた。
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