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「首吊り!? 冗談やろ莉奈…」
「………」
「………マジで………」
「明日お通夜やけん…」
「分かった…。 また掛け直す」
電話を切った後、ダイはばぁちゃんに怒鳴った。
「ばぁちゃんのせいたい!!」
「ダイちゃん…!」
「ここにおればそんな事にならんかったのに…!」
ダイは二階へ駆け上り、部屋に閉じこもった。
三ヶ月前今泉と一緒に吸っていたシンナーが、ペットボトルに半分残っていた。
今泉はシンナーでボジけた状態で首吊りをしたんだと莉奈に聞いた。
それでも現実味と実感の無いままで、素直に悲しくなれなかった。
また莉奈の冗談じゃないんだろうか。 携帯代を払えずにいる今泉を匿っているんじゃないんだろうか。
色々考えた。 だから他の奴にも電話してみる事にした。 本当の話なら皆知っているはず。
今泉の紹介で友達になった成巳に電話をかけた。
「もしもし成巳? 今泉の話聞いた?」
「知っとるよ…」
「本当の話なん? 俺今一信じれんっちゃけど」
「俺も初め聞いた時そうやった…。」
「あ………」
他の奴にも掛けてみたけど、皆知っていた。
その日ダイは夕飯を抜いた。 食欲が無かった。
眠りに着く間、ダイはずっと今泉の事を考えていた。 それでもやっぱり実感が湧かなかった。
翌朝早く起きたダイは、喪服に着替えて莉奈の家へ向かった。
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