PAIN

12/13
前へ
/13ページ
次へ
* * * 案外ぐっすり眠れたダイは、予定より少し遅れて目が覚めた。 莉奈はもう化粧をしていた。 煙草に火を点けて、ダイが言った。 「今泉の顔、何か別人みたいやったね…。」 「うん…。」 「…膨張して、何か青い斑点がいっぱいあった。」 「首吊りやけんね…。」 「毒が出よるっちゃろ?」 「らしいね。 …はよダイも準備せな! あんた時間掛かるっちゃけん!」 「そーやん!」 バタバタ準備をしながらも、ダイの頭の中からは今泉の顔の事が消えなかった。 蝋人形…膨張…青い斑点…。 いつもより手早く準備を終えたダイと莉奈は、下の公園で静夏と俊と合流した。 成巳と祐也は来れないと昨日言っていた。 出来れば来てほしかったとダイは強く思った。 葬儀所へは昨日と一緒で友美のおばちゃんに送ってもらった。 葬儀所は通夜と同じくらいの人で溢れていた。 「多いねぇ…」 静夏にダイが応えた。 「今泉は友達が多いっちゃね…」 莉奈が言った。 「どこ行ってもムードメーカーやったけんね…」 「うん…。 色んな人を繋げとったっちゃね…」 俊が言った。 「俺とダイが再会できたのも今泉のお陰やもんね…」 「そーやねぇ…」 「…」 「…」 「…」 「…」 改めて今泉の大きさを感じた四人だった…。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加