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ダイはよく皆に好かれた。 綺麗な顔立ちと可愛い笑顔が、周囲の人々を惹き付けた。 そして今日もまた、そのルックスは人を惹き付けた。
ここは福岡県福岡市にある天神街。 友達と買い物に来ていたダイは、スーツを着た女性から声を掛けられた。
「ねぇちょっと君、夜の仕事とか興味ないかいな」
「ないこともないけど」
とダイはワクワクしながら笑って言った。
「ホント!? ホストとか興味ある?」
「ホスト!? いや歳がヤバいやろ」
「え!? 君いくつ?」
「いくつと思う?」
更にワクワクしてダイは訊いた。 女の人ものってしまう。
「えーっと、19か20くらい? …と思ったけど違うみたいやねぇ。 え、18はいっとるよね?」
「マジ!? そんな大人っぽく見える!? まだ16っちゃばってんね」
と茶目っ気な笑顔で話すダイに女の人はビックリした。 まさか18歳未満だとは思わなかったようで、もうひとりの女の人と大笑いしている。
「えー! もったいないやん! 絶対君ならNo.1かNo.2いけるって!! あーも本当に残念やしぃ。 良かったら18歳になって連絡頂戴! 私がスカウトしたけん間違いないけん! 絶対連絡頂戴! 名前教えてよ!」
別れ際に渡された名刺には、4つ程店の名前が並べてあった。
(うわっ! ちかっぱ有名な所やんけ!)
友達と合流したダイは早速自慢話を始めた。 全く興味無しって顔した友達にダイはおかまいなしに話し続けた。 もうウキウキして仕方がないといった様子だ。
「マジですげくねぇ!?」
解散するまでずっとその調子だった。
この頃からダイのモテ期が始まった。 道行く人々は憧れの目で彼を追った。 お洒落だったせいもあってダイはよく目立った。 知らない中学校でファンクラブが出来たり、初対面の女の子から告白されたりした。
昔からそうだった、というわけではない。 寧ろ全くモテなかった。 嫌われていた。
周りからバイ菌扱いされ、人を惹き付ける輝きなど全くない、影のある少年だった。
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