PAIN

2/13
前へ
/13ページ
次へ
 ダイはよく皆に好かれた。 綺麗な顔立ちと可愛い笑顔が、周囲の人々を惹き付けた。 そして今日もまた、そのルックスは人を惹き付けた。 ここは福岡県福岡市にある天神街。 友達と買い物に来ていたダイは、スーツを着た女性から声を掛けられた。 「ねぇちょっと君、夜の仕事とか興味ないかいな」 「ないこともないけど」 とダイはワクワクしながら笑って言った。 「ホント!? ホストとか興味ある?」 「ホスト!? いや歳がヤバいやろ」 「え!? 君いくつ?」 「いくつと思う?」 更にワクワクしてダイは訊いた。 女の人ものってしまう。 「えーっと、19か20くらい? …と思ったけど違うみたいやねぇ。 え、18はいっとるよね?」 「マジ!? そんな大人っぽく見える!? まだ16っちゃばってんね」 と茶目っ気な笑顔で話すダイに女の人はビックリした。 まさか18歳未満だとは思わなかったようで、もうひとりの女の人と大笑いしている。 「えー! もったいないやん! 絶対君ならNo.1かNo.2いけるって!! あーも本当に残念やしぃ。 良かったら18歳になって連絡頂戴! 私がスカウトしたけん間違いないけん! 絶対連絡頂戴! 名前教えてよ!」 別れ際に渡された名刺には、4つ程店の名前が並べてあった。 (うわっ! ちかっぱ有名な所やんけ!) 友達と合流したダイは早速自慢話を始めた。 全く興味無しって顔した友達にダイはおかまいなしに話し続けた。 もうウキウキして仕方がないといった様子だ。 「マジですげくねぇ!?」 解散するまでずっとその調子だった。 この頃からダイのモテ期が始まった。 道行く人々は憧れの目で彼を追った。 お洒落だったせいもあってダイはよく目立った。 知らない中学校でファンクラブが出来たり、初対面の女の子から告白されたりした。 昔からそうだった、というわけではない。 寧ろ全くモテなかった。 嫌われていた。 周りからバイ菌扱いされ、人を惹き付ける輝きなど全くない、影のある少年だった。image=160507158.jpg
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加