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-どうしよう。せっかく慰めてくれた親切な人に、ちゃんとお礼言えなかった…。真っ赤な顔をしたまま私は、さっきの彼を思いだしていた。
優しくて大きな手に優しい目、少し低い声だけど、よく通る声。思い出しただけで心臓がバクバクとなりだした。いつの間にか走っていた足が早足になる。
するとズキンと右足に衝撃が走る。
そうだ、私は怪我をしていたんだ。
思い出した瞬間、ズキンとひどい痛みで涙目になる。
さっきの彼を思いだしていた時や彼に慰めてもらっていた時は、痛みなど忘れていたのに、初恋もまだだった私だったのでわからなくて混乱していた。すると、ポッケに入っていたケータイがブブブブとなった。すぐケータイを取り出すと、親友の朱梨からの電話だった。すぐに通話ボタンを押す。「夢、怪我は大丈夫??」その親友の第一声に私は、「変なの。さっきあったばっかりの男の子の事を思い出すだけで、心臓がバクバクするの。」もう頭が混乱してて怪我とは別の話をしていた。すると朱梨のは、驚いたような嬉しいような声で「それは、恋よ。あなたは、その子に恋をしたの。」私は、その言葉を聞いた瞬間ポカンと口を開けたまま固まった。頭を冷やしてもう一度朱梨に聞く。「しゅり…これが恋なの?」つい声が震えた。朱梨は、自分のことのように喜んだ声で「んー。夢にとっては、これが初恋かもね♪」そういった朱梨の言葉は、私の心に小さく響く。
これが…私の初恋。
そう心にこだまする。
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