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僕は、家路に着くと素早く階段を駆け上がりベットにダイブする。
顔を冷やしながら、自分を落ち着かせる。
すると、トントンとドアのノック音が近くで聞こえる、誰だかわかった。妹の美夏だ。美夏は、顔を少しだけドアから顔を覗かす。まだ美夏は、六歳だ。僕とは、十歳位離れているがとても兄弟として仲が良い方だ。
美夏は、「おじいちゃんが、ご飯だって。」といいベットの上に腰掛けた僕の膝の上に座る。
「美夏、兄ちゃんご飯食べにいけないぞ。」軽く困ったように言う。すると美夏は、「お兄ちゃん、美夏は、お兄ちゃんの味方だよ。」何でそんなことを言ったのかわからないが、多分、美夏は、今日のことを察してくれたんだと思う。「ありがとうな、美夏。」そう言って軽く美夏の頭をなで、美夏を立たせた。そしてご飯を食べに行く。
食事中ずっと祖母と祖父がにこやかにこちらを見ていた。にこやかさがいつもとちょっと違ってびっくりする。すると祖父が「後で私の部屋に来なさい。」と言った。何だろう?と思いながらも食べ終わり祖父の元へと行こうとした。すると美夏が私も行くというように僕の手を握る。すると、祖母が「美夏ちゃん、一緒にお風呂はいろっか。」と駄々をこねる美夏を連れて行く。美夏をつれて遠くなる祖母に僕は、軽くお辞儀をした。祖父の部屋にはいるとにこやかに祖父は、制服を渡した。「明日から、新しい学校で頑張ってきなさい。」と祖父は僕の肩を軽くたたいた。祖父夫婦は一人娘しかいなかった。その一人娘の母も三年前他界してしまった。そして悲しみに暮れていて僕達のことを忘れているかと思った。母の葬式、涙をこらえ、これから妹と父を守っていくんだと決心した日、祖父夫婦が僕たちの前に現れた。そして僕と妹をだきしめ、「辛かったね。」と言った僕はたえられなくなり、思い切り声を出して泣いた。覚えてるのは、祖父夫婦の強く優しい腕と3歳だった妹が母が亡くなったことも分からないけど泣いてる僕に足をつま先立ちし、「たいちゃ、だいじょゆびゅ。」と言い僕の頭をなでたことと「強くなる。」と決意したことだった。
それから三年僕は、高一になった瞬間祖父の家に引き取られた。
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