●再会●

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●再会●

今日は六月一日、僕が初めての高校に通う始まりの日だ。朝早く弁当を作ろうとした僕は、五時に起きた。台所に着くと、祖母が、弁当を作る用意をしていた。僕に気づくと「あらぁ、泰成君、おはよう。」と優しい声がかかる。僕が作りますと言おうとすると祖母は僕の口に人差し指をあてた。「私は、泰成君の親じゃないけど私たちにとってあなた達は我が子も同然の愛しい孫なの。だから私は、泰成君に私のお弁当食べてほしいな。」その声は優しく僕の耳を通り僕の心に響く。 僕は、こんなにも幸せでいいのか…!?と心に語りかけた。祖母は、僕をまっすぐ見て、「ねっ。」と目で問いかける。 僕は「じゃあ…弁当を一緒に作っていただけないでしょうか。」と言い、顔を伏せた。顔を合わせていると、不意にも涙が出てきそうだから。 だってそうだろ? 今の僕は目頭が熱く、今にも泣き出してしまいそうな子供のようにちっちゃかった。 祖母は、僕の表情を感じ取ったのか、「さぁ、作ろっか。」と僕の伏せている顔からお弁当箱に目を向けた。 弁当が作り終わると同時に美夏が台所に「いい匂い。」とやって来た。 「おはようございますは?美夏。」とお弁当のおかずの余りをつまもうとしていた美夏に言う。美夏は息を思い切り吸い込み「おはようございます。」と大きく元気な声を響かせた。 「はい、おはよう。」と祖母が美夏に言う。美夏も満足したのか笑顔で祖母と僕を見る。「美夏、おはよう。」と僕は美夏の頭を軽くなでながら言った。美夏は、僕に抱きつき。いつの間にか台所にきていた祖父に「おじいちゃん、おはようございます。」と言った。僕も続けて「おはようございます。」と言った。 祖父は、僕たちに挨拶をすると、「さぁ、ご飯を食べようか。」と言った。朝御飯を食べ、時計を見る。
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