58人が本棚に入れています
本棚に追加
「だって、彬…あたしのせいでバスケットできなく……」
「お前を失うことに比べたら……、気にすんなっ、そんなこと…!」
あたしの肩に頭を乗せて言った彼の声は、震えていた。
「……この足のせいでお前に辛い想いさせて、どう接していいか、わかんねぇ」
「あたしは、辛くない……」
彼が素っ気なかった訳を知って、また涙が溢れた。
「今にも死にそうな顔してるくせに、強がんな! あの時も、つまんねー嫉妬しやがって、お前だけ名前で呼んでることに気づけよっ…! だいっきらいなんて言うな……」
あたしの腕を掴む手に力がこもる。
長い間、閉ざしていた想いが溢れる。
「…んで、何で気にすんななんて言えるのよ! 恨み言の一つもあるでしょう…!」
「あれは事故だ、お前は悪くない」
――中学卒業式。
『先輩、第二ボタン、ください』
後輩にせがまれて彼は困っていた。
『えー、ずるーい、アタシもほしー』
『アタシもアタシもっ』
最初のコメントを投稿しよう!