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1人目を合図に人数は増え、助け船を出そうとした、その時。
彼と、目が合った。
『どーしよーっかなー…』
はっきりと断らない態度に、ムカついた。
自惚れていたんだ。
あたしだけ名前で呼ばれて、彼に1番近い存在でいるって。
『だいっきらい!!』
泣きそうになるのを堪えて叫んだ声に、辺りは静まり返った。
「あたしが飛び出したりしなければ……」
思えば、小さな事だった。
態度だけでは不安で、特別を感じても、不確か過ぎて。
「そうだな。勝手に誤解して、大嫌いなんて言いやがって、そこはお前が悪い。その後の言葉も聞こうともしねぇし」
「あき…っ……」
怒った顔で見下ろして、伸びた腕があたしを引き寄せた。
「いい加減、泣き止めよ。お前の″大嫌い″は、今も昔も、逆の言葉にしか聞こえないんだよ」
強引なのに、その手が優し過ぎて、言葉にしなくても彼の気持ちが伝わってくる気がした。
「俺の気持ちに気づけよ。好きじゃなきゃ、追いかける訳ないだろ」
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