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「謎の討伐者?」  碧の瞳の少年――テルツと呼ばれる魔術世界で二番目に珍しい、碧の瞳を持つ獅堂戒という少年は、紫の瞳の少年に聞き返した。  彼の名は冴木優真。戒も優真もパルテノン魔術学園という魔術師養成学校の専修科一年であった。  二人がいるのは『専修科一年 Eグループ』と書かれた小さな部屋で机や椅子、本棚やホワイトボードなんかも置いてある、まるで部活動などで話し合いをするかのような質素な部屋だった。 「うん。この前Bグループが校外実習でここから少し離れた街に行ったんだけど、そこである噂話を聞いたんだってさ。それが謎の討伐者。梛奈ちゃんも聞いたよね?」  優真は柊屋梛奈という、目の前に座っていた自分と同じ色の瞳の少女に問いかけた。 「あーあれね。確か街周辺に現れた魔物を退治している人がいるって話だったよね。しかも退治っていっても殺しているんじゃなくて、どうも冥界に送り返しているらしい」 「それって討伐士が退治しているんじゃないのか」  戒の問いかけに梛奈ではなく、その隣に座っていた藍色の瞳の少年、夜行天斗が答えた。
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