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「いや、討伐士ではないそうだ。政府も何者なのか極秘に探っているらしい。この頃は魔物が現れる事の数も多くなり、討伐士も手が一杯で間に合わないケースも多いというのに大変だな」  天斗の言葉にそれまで黙って本を読んでいた少女――宝院珠玲は本を閉じ、その藍色の瞳を天斗へと向けた。 「仕方ありませんよ。そんな力を持つ方でしたら、それこそ人手の足りない討伐士に欲しいと思うものですから。それに人手が足りないからこそ、私たちのような学生……専修科以上の学生にも校外学習と称して討伐の依頼が来るのですよ」  専修科では基礎科のようなクラス分けはなく、属性や魔武器ごとの授業を選択――非魔術世界では大学などと呼ばれる学校でよく用いられている授業形態――である。  またクラスの代わりとして、AからJグループまでグループ分けがされていて、そのグループで魔物の討伐活動を行っている。 「魔物も昔はそれほどじゃなかったのに年々多くなってるらしいね。さてと、そろそろ時間だよ。遅れると『貴重な俺の時間を無駄にしやがって』ってまた怒られちゃうよ」 「せっかくのグループ室なんだからこっちに来いって話だよね。動くのが面倒だから職員室に来いって、職務怠慢だよ。給料泥棒だ」  文句を言いながらも、しっかり職員室へと向かう五人だった。  
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