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「お前らへの課題はトロイという街の近くにいるという魔魅の討伐だ。数はおよそ三十。今は被害はないようだがこのままだと街に危険がある。と、いうことで行ってこい」
五人のグループ担当である魔導師――香月京哉は煙草を吸いながらいかにもやる気のなさそうな雰囲気で、課題が書かれている紙を淡々と読み上げた。
香月のやる気のない態度はいつもの事なので気にも留めていなかったが、最後の一言に五人は目を丸くして驚いた。
「行ってこいって、今から?」
「いや、明日の早朝だ」
「いやいや、それでも早過ぎだろっ。三日前には伝えるんじゃなかったのか?」
日帰りで行ける距離ならいざ知らず、討伐は大概が泊まりがけとなる。そのため、持ち物や授業を欠席する届け出などそれなりに準備が必要なため、最低でも出発の三日前には伝えられるようになっていた。
「仕方ねぇんだよ。何でもクレタ方面で魔物が大量に現れたそうで手が足りないんだとよ。で、こっちに連絡が入ったと。数は少し多いがお前らなら大丈夫だろ」
「まあ、それならしょうがないか……。分かったよ、明日から行ってくるわ」
呆れたとも諦めたともつかない溜め息を一つつくと、課題を引き受けた。
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