”祭りの終わり”

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  祭りの終わりに呼び出された境内の裏   頬にあたる夜風が少し涼しかった     どこからともなく現れたあなた   小走りで来たからか 少し息が荒かった   「あのさ」   「なに?」   なぜかはわからないけど 心臓がドキドキしてる   彼の緊張感が伝わってきたのだ     「俺・・・」   そう言ったまま彼は固まった   まるで石像のように     時間にしたらほんの僅かだろう   しかし私には いや私達にはとても長い間 ただ向かいあっていた      パンッ!   どこかで何かが弾ける音がした   それをきっかけに二人の時も動きだす     「俺さ お前の・・す・・だ」   パパパパパン パパン   再び爆竹らしき音が彼の言葉を遮った     「えっ なに?」   「だから これ!」   そう言って彼は私に封筒を手渡し 走り去って行った     ドキドキしながら封筒を開けると 一枚の手紙が入っていた   取り出してみると どうやら他にも何かが入っているようだ   私はひとまず手紙を見てみることにした     『俺の家は貧乏だから おまえとは住む世界が違うかもしれない   だから気持ちは伝わらないかも知れないけど       ・         ・         ・ ごめん   給食費盗んだの俺なんだ   どうしても生活が苦しくて・・     返すから許してくれ 頼む』   そう書かれていた     そして封筒の中にはお金が三千円入っていた     私はそれを見てがっかりした       五百円足らないのだ         おわり  
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