序章:慈悲無き記憶

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ここはあの世。 魂がしかるべき転生をなす為に閻魔王の審判を受ける。 側近の鬼 『大王様、 次の亡者でございます。』 閻魔王 『うむ。 鬼籍を見る限り、歳が相当若いが…』 側近の鬼 『はい、 どうやら死因は外部原因のようです。』 閻魔王 『自殺では無いのか…。 見て見ないと解らぬな。』 側近の鬼 『それがその者、 三途の川では「橋渡し」であったそうで、 何やら訳ありの様です。』 『橋渡し』とは… 人が死んだ後、 最初に渡ると言われる場所で、 そこで最初のふるいに掛けられる。 善人なら『橋渡し』 善人か悪人か判断出来ない者は『桟水瀬』 ここで六文銭を渡せば、 川を渡る舟を出してくれる。 悪人なら『強深瀬』 ちなみに『強深瀬』には水龍が棲んでおり、 悪人はそこで龍に喰われる。 上手くそこを抜けてたとしても、 向こう岸に『服剥ぎ婆』がおり、 六文銭を持っていないと服を剥がされる。 たいていの何らかの原因で天寿を全う出来なかった人は『桟水瀬』か、 自殺者なら、 『強深瀬』なのだが…
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