まっしろの、ゆめ

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 しかも床に立っている感覚もなく、浮いているという感じもない。まるで、よくむしたコケの上にふわりと乗っているような、何とも妙な感覚だった。 「何、これ。もしかして、夢?」  ――そう、ゆめよ。  鈴の鳴るような、少女の声に全身が凍った。  目の前に人影はない。じゃあ、うしろから?  でも、振り向けない……。  ――ふしぎ雑貨屋をご利用くださりありがとうございます。お代はもらってるから安心してちょうだい。じゃあ、ごゆっくり。 「あっ、待って!」
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