差出人のない郵便物

6/12
前へ
/54ページ
次へ
 まくらを一旦段ボール箱に戻して、部屋まで運ぼうとしていると電話が鳴った。 「ちょっとー、取ってくれなーい?」 「ごめーん、無理ー!」  人と話をするのは好きだが、どうも電話は好きになれない。  家に誰かがいる時は、極力取りたくないのだ。  受話器を取るまで誰なのかわからないのがダメなのかも。と考えながら2階に到達すると、聞くと緊張してしまう機械音が消えた。  何を話しているのかは聞こえないが、母の声は弾んでいる。  しばらくすると母の声が近くなってきた。 「花南、姉さんが代わって、って」
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加