差出人のない郵便物

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『私、まだ土産なんて送ってないわよ? この電話だって、服がいいかアクセサリーがいいか聞こうと思ってかけたんだし……』 「……え?」  じゃあ、あのまくらは誰が?  喉が動き、温くてすっぱい唾がゆっくりと下る。  叔母さんじゃなかったら、誰が。 『どうしたの?』 「え? ああ、なんでもないない。懸賞に当たったのかも! 箱の中よく見てなかったなあ」  あははと笑ってみるけど、どうもうまく笑えない。  叔母さんだって、どうもおかしいと思ってるに違いない。だって、さっきから黙ってるもの。
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