ストレート直球告白

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そう言いながら、 俺は自分のバイクの後ろに 兄貴を乗せて走って行った。 クラス発表から始まり、 体育館での入学式が済んで、 クラスでの担任の くだらない話が終わって、 ようやく、帰れることになった。 しかし、帰りに支度をしていると、 担任に呼び止められた。 「ちょっと待ちなさい」 「何?」 「何じゃないだろ。 何だその制服の着方は」 「別にちょっと、 着崩しただけじゃん」 「何だ、その口の聞き方は」 「うるせぇよ。つーか、帰るから」 「コラッ、待ちなさいっ」 そんな先公の言葉無視して、 俺はお得意の逃げ技で くだらない先公の話から、 逃げることにした。 正門前に行くと、兄貴が立っていた。 「何やってんだよ?」 「森を待ってた」 「あっ、そう」 「制服のことで怒られてたんだろ」 「それが何?」 「だから、言っただろ? 改造するなって」 「兄貴まで説教かよ」 「ちょっと、待てよ」 兄貴の言葉に耳を傾けないで、 俺はスタスタと足を早めて行った。 そして、行きしな同様 帰りも俺のバイクで帰っていった。 「ただいまー」 まだ、誰も帰ってきて いない様子だった。 「どうするそうだな。先に着替えよっか」 そう言いながら、 俺と兄貴は階段を上って 2階へと足を運んだ。 「つーか、何で高校生にもなって、 兄貴と同じ部屋なんだよ」 「いいじゃん、別に。 昔から、そうなんだから」 「お前が良くても、俺は嫌なんだよ」 「何で?何か不都合でも、あるの?」 「ねぇけど……」 「なら、いいじゃん」 そう言って、1人で納得して 兄貴はブレザーを脱ぎ始めた。 「俺も着替えるかな…」 俺がブレザーを脱ぎ、 カッターシャツの ボタンを外していると、 兄貴はすでに上半身が 裸になっていた。 「……」 「んっ?どしたの?何か付いてる?」 「べっ、別に何もねぇよ」 兄貴と目が合った俺は、 何かを誤魔化すかのように、 言葉を濁らせながら、目を離した。 「……?」 この時に― どうして気付かなかったんだろう…。 さり気ない君のしぐさに、 少しづつ心を奪われている自分に。 この時に気付いていれば― 俺の未来は少しでも、 変わってたのかな…? 「……森?どうしたの?」 「あっ?いや、何でもない……。 さっさと、飯食おうぜ」
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