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『さて、では行きましょうか』
さりげなく私の鞄を持ち、歩き出す。
『あ、ちょ、こら雷吾』
急いで呼び止める。
振り返り
『どうしました?』
抗議がしにくい爽やかな笑顔だ。
『だから、鞄は自分で持つって言ってるだろ』
奪い返そうとすると、ヒョイっと鞄は持ち上げられ、私の手は空振った。
『はい、向日葵が言った事は、一言一句漏らさず覚えてますよ』
さりげなく怖い台詞が聞こえた。
『う…、それはそれで嫌だな』
『とりあえず返せよ、鞄』
『嫌です』
恐ろしく早い返答だった。
『なんでだよ』
『嫌だからです』
これも、恐ろしく早い返答だった。
『ぐ…』
言葉に詰まっていると
『とにかく無駄ですから、さっさと教室行きましょう』
爽やかな…いや腹黒い笑いをたたえ、歩いていった。
今日もまた持ってかれた。
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