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『おはよう』
『おはよー、昨日のテレビでさ‐』
そんな朝の会話が聴こえてくる。
ここは朝になれば、通学する学生で溢れる通学路。
に出るまでの急傾斜な坂道。
周りには誰も見当たらない。
なにしろこの坂は急傾斜過ぎて歩きはもちろん、車ですら登りがきつい。
しかし、この坂の周りにある家は私の家しかない。
つまり、ここを登るのは、私の家族くらいなのだ。
その坂も、長年登り続けてるおかげで、軽く登れるようになってしまった。
女の子が、大の男が必死こいて登る坂道を、ササッと登れるのは、なんだか悲しいけど。
坂道を登り終え、少し歩けば通学路だ。
通学路に出ると、人口密度がドッと増える。
私が通う学校は、生徒数2000を越える。
学科が普通、文系、理数系とここまでは普通だが、これに芸能科が加わる。
その芸能科のおかげで、こんな片田舎の廃校寸前だった木造校舎が、耐震強度バッチリの新築校舎の競争率48,9の超人気校になった。
それが今春の話。
つまり、去年までその廃校寸前だった木造校舎に通っていたのだが、なんでかこんな人気校に通うハメになった。
なんでか、ではない。
理由は、明確だ。
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