🆕 彩貴 菫 《サイキ スミレ》

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普段の姿とは、 『ねぇ向日葵~。遊びに行かない?俺やっと休み取れたんだよ~』 …。 これだ。 大型犬が尻尾を振りに降ってまとわりついてくる感じだ。 他のみんなとも打ち解けてはいるが、私には特にワガママや甘えが目立つ。 仕事の時の真剣な表情が時々夢なんじゃないかと思えてくる。 『なぁ向日葵ってば』 『わぁ!?きゅ、急に顔を出すな///』 なんで慌ててしまったのかはわからないが、恥ずかしい反応をしてしまった。 『へ?急にじゃねぇよ。さっきから見てたっての。全く反応しねぇんだもん』 プクッと顔を膨らませ、不満を表した。 まったく、子供っぽいんだから。 『で?遊び行ってくれんの?』 期待大きく再度聞いてきた。 『行くかバカ。私の皆勤賞を無くす気か』 『え~!?行こうよ、じっちゃんには俺から頼むからさ』 そう、この大型犬の祖父がこの学校の理事長なのだ。 だから都合をつける、と言っている。 こういう誘いは初めてではない。 しかしその度に私は 『阿呆。そんな事が罷り(まかり)通ってたまるか。真面目に通っている人が馬鹿みたいじゃないか』 『う~』 未練がましく唸る(うなる)菫。 『~。わかったよ、放課後な、放課後』 『聞こえたのか?』 座り込んでいた菫が 『ぃぃよぉっしゃぁ!!』 力いっぱい飛び上がった。 やっぱりホントは人間じゃなくて犬なんじゃないのか? .
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